農作物が売れるかどうかは準備で決まる 商談はセンスではない

Q:農家ですが、商談が苦手です。どうしたらいいですか?
A:商談は準備で決まります。適切な準備をすることで、成約率は上がります。
商談はセンスではない
商談といえば、話し方やプレゼン手法などのテクニック・センスの話に終始しがちです。
しかし実際には、商談の成否は当日の会話ではなく事前準備で決まります。
どんなに素晴らしい野菜や果物、お米であっても、相手に魅力が伝わらなければ買ってもらえません。
逆に、魅力がきちんと伝われば、満足のいく値段で、良い取引先に選んでもらえるはずです。
それでは、どうすればいいのか。
私のような経営アドバイザーを活用していただければ多くの問題は解決するわけですが、依頼をするハードルが高いのも理解しています。
ここでは、「今日からできる」商談に向けたポイントをご紹介します。
商談に向けて、以下の項目を整理しておきましょう。それだけで、成約率は上がるはずです。
□品質
□出荷体制
□出荷量
□希望金額
□人材・組織
□機械設備
□資材・生産方法
□土壌・立地
□財務・経営
以下、それぞれについて簡潔に説明します。
「何が魅力なのか」を「言える化」する
一般的に、取引相手が求めるのは定品質、定時、定量、定価格の「4定」です。
それぞれについて、自分が作る農作物の現状をまとめておきます。
(メモは相手に見せる必要はなく、自分で確認するカンペのようなものだとご理解ください)
品質
どんな味なのか、どんな見た目なのかを詳細に書いておきます。
たとえば、意外と雑になってしまいがちなのが味の説明です。「美味しい」と単に表現するのではなく、「○○だから美味しい。具体的には、ライムのような酸味、黒砂糖のような甘さ、土の香りがわずかに感じられる。口いっぱいに頬張ると酸味や甘さの中にレモンの果皮のような苦みがわずかに感じられるのがアクセントになる」のようなイメージです。
可能であれば、他の農園の農作物と比較してみて、分かりやすく説明してあげたいですね。
定時・タイミング(出荷体制)
収穫や調整・出荷体制についてもまとめておきましょう。●月から●月までは出荷できる。●曜日は難しい、など。
自社のルート配送便があるから●●エリアなら迅速・安価に配達可能。受注の翌々日には東京納品が可能。など。
出荷量
特に商社・卸業者と取引する場合には、約束した数量を守れないと即取引中止になることもあります。
「定時・定量」は大事です。どれくらいの出荷量・出荷条件なら約束できるのかを事前に考えておきます。
希望価格
いくらで売れたらベスト、いくらで売れないなら取引しない、という「トップ・ボトム」を予めまとめておきましょう。
そのためには作物別の収支分析がどうしても必要になります。万が一、時間がなくて収支分析ができていないとしても、事前に考えておくに越したことはありません。
🌱ワンポイントアドバイス🌱
これらの4条件の中で、後々になって困るのが価格です。一度決まった価格というものは、簡単には上がりません。
特に、「最初の見積もりが甘かったので値上げしてください」と通告したところで、応じてもらえるケースはほとんどありません。原材料費が上がったときの価格転嫁くらいが値上げの限界だと考えてください。
だから、商談前に収支分析をしておくことは本当に大事です。
これまでの経験則で何となく値付けをしてしまうと、ご自身だけでなく相手方にも結果的に迷惑を掛けてしまうことになります。
なぜ実現できるのかを「言える化」する
圃場の状態や農園全体の説明も行いましょう。ポイントは、「なぜ魅力的な生産物を作れるのか」「長期間にわたって、約束した数量を出荷しつづけられること」を相手に分かってもらうことです。
人材・組織
社員は何人、常勤のアルバイトは何人、繁忙期に来てくれるのは何人なのか。農園がある程度の規模感の場合なら、社長や奥さんが体調不良などになっても出荷を止めない体制は出来ているのかなど。
機械設備
機械を使って、ムリ・ムダ・ムラなく作業を進める体制を整えられているのか。機械化をあえてしていないなら、その旨を訴求します。
そのほか、保管庫、調整場が整っていたり、包装機などの出荷調整に使う専用機や大型の冷蔵庫があったりすると、結構響きます。
資材・生産方法
特に、減農薬や有機の場合に重要になってくる項目。こちら側が使っている種苗や肥料・農薬、マルチ材などをまとめておきます。
なお、生産者が農作物にこだわりを持っている一方で、商社や飲食店側も強いこだわりを持っている場合が多いです。どの資材は譲れるのか、相手の条件をどこまで飲めるのかを予め考慮しておくと成約率が上がります。しかし自分の信念を曲げてまで成約する必要はないので、ラインは考えておきましょう。
土壌・立地
土壌については、皆さんはかなり詳しいはずです。相手との「知識格差」が一番出やすい場面なので、丁寧に説明してあげるための準備をしておきましょう。
ちなみに、専門商社の担当者は専門用語を交えて説明しても理解してくれることが多い印象です。
その他、立地については輸送方法も含めてまとめておくとよいです。取引先の倉庫納入の契約が現実的には多いかと思いますが、先方が持っている輸送網に載せられたり、先方が農園での受け取りを希望される場合もあります。
経営・財務
特に商社と付き合う場合には、年単位でお付き合いしていけるかどうかが重視されます。決算書を丸ごと開示する必要はないですが、借入が少ない、売上高がしっかりと立っている、などは、相手にとっても好印象です。作物別・圃場別の収支分析を行っていれば、経理・財務にもきちんと向き合っているので好印象を与えられます。
お金だけでなく、従業員の教育や福利厚生がしっかりしている、地域に貢献しているなど、人柄のような「農園柄」も、相手は意外と見ています。
自社の経営の特徴をまとめておくのはおすすめです。
おわりに――「ありのまま」を伝えていい
この記事をお読みの皆さんは、農作物と真摯に向き合う、真面目な生産者だと信じています。
だから、相手を騙したり、強引に押し込んだりしてほしくはないです。
これは私見ですが、
商談というのはお客様を説得する場ではないと思います。自分の商品に魅力を感じてくれる人は必ずいるはずなので、その運命のお客様を探す場だと考えています。
だから商談では、背伸びをしたり嘘を吐いたりせず、自分の農作物のありのままを相手に披露してください。その、ありのままを伝えるための準備に力を入れましょう。

その上で、
「商談が上手くいかない」
「商談の自信がない」
そんなお悩みをお持ちの方は、なるべく早い段階でご相談ください。
皆さんの農業経営がより安定的なものとなるよう、全力でサポートいたします。
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